SIGGRAPH 2007 2日目

今日から待ちに待った、論文の発表が始まりました。 以下、その中の特に気になった 3 つほどを紹介します。 それと、Emerging Technology についての簡単な感想を載せます。


Solid Texture Synthesis from 2D Exemplars

この研究は、2 次元のテクスチャから、ソリッドテクスチャと呼ばれる 3 次元のテクスチャを生成する手法についてのものでした。 ソリッドテクスチャは多くの自然の物体をよく表すことができるという利点があるそうで (自然の物質は単純な情報の繰り返しで表現されている、ということかもしれません) 、そしてさらに、物体の内部にもテクスチャが張られているような状態になっているので、物体の分割などを可能にすることができます。

自然なソリッドテクスチャを求めるためには、そのソリッドテクスチャに関する評価関数を最大化 (最小化) する必要があります。 この研究で提示された手法は、見た目にも楽しく、きれいなソリッドテクスチャを生成していました。 ぜひ、リンク先のソリッドテクスチャを見てください。

特にすばらしいと感じたのが、単一のテクスチャだけからではなく、別のテクスチャを内部に埋め込むようなこともできる、ということでした。 一見ただのテクスチャが張ってある立方体の内部に、スマイリーのテクスチャーが自然に埋め込まれているのは、とても興味深いもので、時間を見つけて論文をじっくり読んでみたいと思いました。


Volume-conserving finite element simulations of deformable models

有限要素法を用いて、非圧縮性と元に戻る性質を持った固体をシミュレートする方法についての研究でした。

数式のオンパレードで、論文をじっくり読まなければ詳細は理解できそうにありませんが、非線形的な情報を離散化して、連立一次方程式を求める、という流れは、他の様々な手法と同じです。 このアルゴリズムでは、物体が非圧縮性を持つということを仮定することで、おかしな状態を排除しているようです。 連立一次方程式の求解にはガウス・ザイデル法を用いていました。


Many-Worlds Browsing for Control of Multibody Dynamics

これが今日見た中で個人的にもっとも面白いと感じた発表でした。 物理シミュレーションにおいては、パラメーターをいじることで期待したシミュレーションを作っていくわけですが、そのような方法は直感的でないので、分かりやすいインターフェースを提供します、という発表です。

物体の通りうる軌跡を列挙し、その中で不要と思われる軌跡を排除していくことで、全体のシミュレーションを作っていくようなインターフェースで、見た感じとても簡単にシミュレーションを作ることができそうで、実際に触れてみたいという欲求が掻き立てられました。 しかし残念ながら、現在は複数台のコンピュータを使って演算をしているそうで、個人レベルで利用する場合は、おそろしく速いマシンか、おそろしく強い忍耐力を持つ必要があると考えられます。


午後には、Emerging Technologies を見にいきました。 数多くの出し物がありましたが、特に目を引いたのがマイクロソフトのタッチスクリーン、スクリーンを高速回転しあたかも 3 次元の映像がそこにあるように見せるデバイス、電子ペーパーに関してのものでした。 このようなデバイスは将来的に当たり前のようなものになると考えられ、ぜひそれらを利用したプログラムを作ってみたいのですが、個人レベルでは難しいのかもしれません。 しかし、これらもある意味で予想されうる範囲の技術であったので、それほどの衝撃は受けませんでした。

担当:齋藤 (講義や発表のある部屋へは、早めに行きましょう)